園長NOTE

2016

まやかしの『夢と希望』
当園の個別支援計画は、数年前から利用者の『夢と希望』を叶えるという内容で実施している。何度かこの欄でも取り上げたことがあるが、そのことで、個別支援計画は【できるようになりましょうよ】のような訓練的要素の強いものや、【優しくなりましょうね】的な概念形成が中心のものが見直され、利用者の分かりやすいものになってきた。
利用者が、ディズニーランドに行きたいと言えば年間の外出計画に入れ、親の墓参りがしたいと言えば同行する。うどんが食べたい、ピザが食べたい、○○食べたい、△△食べたい、■■に行きたい、●●●に行きたい。あれ買いたい、これ買いたい。
おいおい、何か違わねぇーか? 食いたい、行きたい、買いたいが夢か?うどん食うのが夢か?ピザ食う希望が叶ったら、そのあとどうすんだよ?
 お前の夢は?と聞かれたら、世界平和かなとかしか答えられない。今更、将来もないし、現実が見えているし、色々条件が厳しすぎるし、オリンピックには出られないし、直木賞も難しそうだし、議員にもマスターにもなれそうにないし、そもそも時間的余裕がないし、体力も気力も衰えてるし、肝心の経済的支えなどありゃしないし。
今日は久しぶりに、うまいそばを食べたいね。とか、冬物バーゲンだから目をつけていたコート買っちゃおうかな、とか。その程度。私たちは、これを夢とは言わない。普段の生活だから。
今年の夏は家族旅行を計画してみようとはいうが、近所のドラッグストアへの買い物をあえて計画はしないはず。普段の生活だから。
 し、しまった、『夢と希望』を軽々に使いすぎた、か。
さやま園50周年記念のドキュメンタリーが完成した。近く発表される。後半MOさんが、入所当時の気持ちや状況を克明に話す。「泣いて泣いて泣いて泣いて、お母さんと門のところで泣いて、ご飯も食べられなかった・・・。おうちにいたかった。」
MOさんの夢と希望は未だに叶っていない。