園長NOTE

2016

再生の力
  ブラシの木をご存じだろうか。さやま園の中庭には、このブラシの木が2本植わっている。一昨年の冬の豪雪をご記憶だと思う。首都圏を含む関東甲信地方は、交通機関のマヒ、寸断でパニックになった。さやま園の降雪も数十センチとなり、庭の木々も大きな被害を受けた。かのブラシの木にも濡れた重い雪が積もり、幹が裂けて折れてしまった。降雪の翌日庭を見回ると、無残な姿のその木がなんとなく気になり、包帯ならぬ白いビニールテープで応急処置を施した。
そんなことはすっかり忘れて5月の下旬、庭を巡っていると見たこともない不思議な赤い花が咲いている。くだんのブラシの木である。煤けて汚れてはいるが、ビニールテープもそのままである。瀕死の重傷であったブラシの木が、見事に再生し、燃えるような赤い花をつけたのである。
 利用者の加速度的な高齢化に支援が追い付かず、後手後手に回る申し訳なさを感じている。通院や入院が増え、そのたびに安否を気遣うことに慣れてきてしまった。病院から園に戻っていただくたびに、介助度が増していく。歩けていた方がカートになり、車いすになっていく。食べられていた方が、刻み食、ミキサー食になっていく。
老け込むにはまだまだ早いですぜ。まだまだ楽しいことだってありますよ。
もう一度、もう一度復活して、笑顔を見せてくださいよ。歩いて、食べて、笑って、泣いて。
花を咲かせてくださいまし。真っ赤な花を!